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矢野顕子「いろはにこんぺいとう」初リマスター盤
11/29リリース

矢野顕子『いろはにこんぺいとう』


「JAPANESE GIRL」に続く名盤中の名盤『いろはにこんぺいとう』

 
このアルバムが発表された1977年。時はシングル「春先小紅」の大ヒットよりも以前、さらにYMOのワールドツアーに参加するよりも前のこと。
本人が「The Girl of Integrity」(アルバム『峠の我が家』)で歌っている人物像そのものがこの一枚にあった―


 

今一度、この名盤をリマスター盤で。
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(以下ライナーノーツより抜粋)

 その底知れぬ才能に音楽関係者が相当ざわついたことは、このブックレットに掲載された当時のプロモ資料からもうかがい知ることができる。
そんな盛り上がりの中でリリースされた本作には、現在の矢野顕子トリオのベーシストであるウィル・リーに加え、デヴィッド・スピノザ(g)、リック・マロッタ(ds)といった超一流ミュージシャンとニューヨークでレコーディングしたタイトル・トラックをはじめ、『JAPANESE GIRL』制作以前(!)に細野晴臣(b)、林立夫(ds)、鈴木茂(g)と録ったトラック、さらには高中正義(g)を迎えたフュージョン/AOR風味の曲まで、時間も場所も由来もさまざまに異なる曲が集められている。それでいてアルバムとしての統一感があるのは、“世界基準で通じるポップ”を指向しているからだろう。伝統的な日本、“今”の日本、そして“今”のアメリカなどなど、矢野顕子が奏でる音は時空を軽々と超えるが、その幅広さを決して狭めることなく、どれもがポップな楽曲として聴こえるよう細心の注意が払われているのだ。それは本作でカバーされている曲を見ても分かる。細野晴臣が小坂忠のために書いた「ほうろう」、同じく細野がはっぴいえんど時代に書いた「相合傘」。そしてセルフ・カバーとして、矢野顕子が石川セリに曲提供した「昨日はもう」、鈴木晶子名義で小坂忠のために提供した「やませ(東風)」(原曲では「つるべ糸」)。いずれもが日本的な情緒を深く感じさせる曲でありながら、当時の洋楽のエッセンスが取り込まれたものばかりで、海外のリスナー/ミュージシャンが同じ地平で聴くことができるものが選ばれている。そのおかげで、リマスターされた本作をあらためて聴いても、懐かしさよりもエバーグリーンと言うか、常に世界にあり続けていた音楽として響いてくる。
 そしてもう1つ、本作のトーンをまとめるにあたって重要な役割を果たしているものがある。
冒頭のインストゥルメンタル曲「KAWAJI」でフィーチャーされていることからも分かるように、シンセサイザーの大胆な導入だ。
シンセサイザーの音作りを担当したのは松武秀樹。後に“YMO第4のメンバー”として知られる人物だが、本作が制作された当時は師匠である冨田勲のもとから独立したばかりだった。
“シンセサイザー・プログラマー”なる職業を初めて日本の音楽業界に知らしめたのだ。師匠の冨田勲をはじめ、当時のシンセイサイザー・アーティストは自らの作品を作るためにシンセサイザーを導入し、自身で演奏まで行っていたのに対し、松武は矢野顕子のためのサウンドを作るのに徹し、演奏はミュージシャン……矢野顕子に委ねたのである。
後のテクノ時代に定着する“シンセサイザー=無機的”という図式とはまるで異なり、矢野顕子がその演奏力を存分に生かした表情豊かなものばかりだ。

國崎晋(サウンド&レコーディング・マガジン編集人)


 

特典の発売当時に配布されたプレスリリース(復刻版)より
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矢野顕子『いろはにこんぺいとう』(紙ジャケット仕様)

MDCL-5044  \3,000(税抜き価格) + 税
封入り特典: プレスリリース・パンフレット 復刻版 

1.KAWAJI
2.いろはにこんぺいとう
3.待ちくたびれて
4.ほうろう
5.行け柳田
6.相合傘
7.ぽつん
8.昨日はもう
9.家路
10.やませ(東風)


 

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<関連リンク>

矢野顕子アーティストページ
http://midiinc.com/cgi/contents/commodity.php?a=240

矢野顕子オフィシャルサイト
http://www.akikoyano.com/

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