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気晴らし日記

2019.09.11


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しばらくぶりに此処に書く気になった。

私は今何をしているかと言うと、夫とふたりで二人の子どもを育てながら、穀物農家である夫の手伝いをしている。標高900メートルのところに家があって近所付き合いは良好、家の前の畑には白インゲン、モロッコインゲン、トマト、茄子、ズッキーニ、きゅうり、ピーマン、赤毛瓜、ヘチマが毎日毎日実をつけている。人参の葉は20センチほど、大根、野沢菜、かぶ、はまだ小さいが冬に向けて着々と大きくなっている。秋の収穫を待っているのはカボチャ、秋作のジャガイモ、あずき、大豆、さつまいも、さといも、長芋、そろそろ出荷を迎えるレンコン畑は標高800メートルのところにある。それから我が家の誇れる米。もう新米が出始めているかと思うが、何も知らないから美味しくいただけるのだと私は思っている。これから来る寒さの中での登熟が米をどんどん旨くする。
そういうひとつひとつを、いつの間にか六年目の田舎で観察している。頭の中ははっきりしているし、見えるものも歪みはない。東京に住んでいた頃の自分が自分でないくらいに変わったのは本当にありがたい。ただの無知と頭でっかちを反省し、学ぶことと実践することさえ辞めなければ進み続けられる。
自然の中で作業していたら雨の曲が出来た。この間渋谷さんとやってみたらとても良くて、私なんかの音楽も捨てたものではないと思ってしまった。あとは風、雲、雪を題材にした曲を作って録音してみようと思っている。全ての人間に共通する感情は自然の中にあるような気がしていて、それに気付くことさえできれば何かの解放になるのではないかと企んでいる。
夫にはブラジルの知人が沢山いて「ブラガを呼ぼう!」なんて言っていたけれど、我が家にギャラを払える能力があるのかわからないのでそれは夢のまた夢としておいて、まあ確かに日本にこだわることは無いのだから、言葉の理解の要らない曲を作っていこうと思う。
ブラジルにも日本にも自然がある。都会はあるけれど、都会の食糧を支えているのは間違いなく田舎で、土のあるところだ。そこで育まれる音楽は人間らしく、他の感情に寄り添えるものが多い。全事象を切り離して考えるのはそろそろ辞めにした方が良い時に差し掛かっている。

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