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風街イーストロンドン
ロンドン・オリンピックに向け開発が進んでいるイーストロンドン。そんな街で日々感じた事や出来事等を、伝えていきます。

北欧のアーティスト達


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先日、友達が『ニューヨークのDJ達が中近東系の音楽に影響を受けたノルウェーの新しい音楽シーンに注目しているらしい』と話していました。いずれ世に出るだろうとは思っていましたが、以前からその素晴らしさの虜になっていたので、嬉しい反面、『やっとかあ』という心境になりました。
ノルウェー、オスロは僕にとってはヨーロッパの中で頻繁に訪れる街の一つです。
僕が初めてオスロを訪れたのは、バンドのツアーの為で、ライブハウスのサウンドシステムの良さや、確実にオーガナイズされたイベント、ラジオ収録等、普段イーストロンドンにいる僕には充分過ぎるくらいの環境に感激しました。そして何よりもノルウェー人の人柄の良さに一番感激したのを覚えています。
最初はフィヨルドの湾の奥に隠れるようにひっそりと佇む小さな港街という印象でしたが、滞在を繰り返すうちに、そんな小さな街がなんだか威風堂々とした雰囲気の街だと感じるようになりました。やはり石油等の資源に恵まれ、経済的に裕福であり、教育水準も高く、芸術活動等にも国が的確に援助しているそうで、国全体に余裕があるのでしょう。しかし、他のオイルマネーに頼る国々とは違う、のどかさ、素朴さというような雰囲気がノルウェーをもっと魅力的にしているのだとも思います。

"Then Is Just Another Kind of Now " - Now We've Got Members -
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"Tiny Disasters On/Off" - Now We've Got Members -
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Metronomicon Audio

そんなノルウェーで心地よい経験と素晴らしいアーティスト達との出会いを与えてくれたのがイベントを企画してくれたJørgen Skjulstadを中心人物とする"Metronomicon Audio"というオスロのレーベルです。自称アンチ音楽ビジネス、DIY、CD-Rレーベルと言っていますが、レーベルの活発な活動や、ミュージシャンのセンス、クリエイティビティ、テクニックには本当に感服させられます。
今回は"Metronomicon Audio"から僕の好きなバンド"Now We've Got Members"と"Truls and the Trees"を紹介したいと思います。
まず、Now We've Got Membersは、地中海バルカン音楽や中近東系音楽にある独特の変拍子とメロディーを吸収した形のプログレッシブ・ロックといえば良いのでしょうか、、しかし、それだからといって民族音楽色が強すぎるという訳でもなく、しっかりと北欧の洗練されたメロディーのエッセンスは残っているという、絶妙で摩訶不思議なバンドです。"Now We've Got Members"は名前から推測されるように、メンバーがよく加入したりと不定期に入れ替わります。今まで何回も彼らのライブを観ましたが、毎回編成が違っていて、去年ロンドンで彼らがライブをした時は5人編成でした。時には12人編成の時もあって、ライブパフォーマンスはいつもメンバー編成に関係なく、とても安定していてパワフルで、毎回同じようなグルーヴ感を楽しめます。ジャズインプロのバンドで活動するサックス奏者やギターリスト、ギリシャの民族楽器バグラマをエレキギターを弾くかのようにかき鳴らすバグラマ奏者、ジプシー風アコーディオニスト、自在にリズムをコントロールするベーシストとドラマー、各パート、非常に個性的で、メンバー達のグルーヴ、特にプログレッシブなパートは、いったいどうやって拍子を数えているのか解らないくらいの変拍子でありますが、その一体感は本当に素晴らしいです。そしてフリーになった時の即興も印象的であり、またキャッチーなメロディーには90年代風の懐かしさがあります。
最新のアルバム"Then Is Just Another Kind of Now "では中近東メロディーとプログレッシブさを全面に押し出したストロングスタイルな選曲で、その前のアルバム"Tiny Disasters On/Off" ではメロディーに重点をおいたポップな仕上がりが特徴です。僕は最初に"Tiny Disasters On/Off"に収録をされている曲をライブで聴いた時、その楽曲の美しさとポジティブさに衝撃を受けました。

"Ailanthus" - Truls and the Trees
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そして、リーダーTrulsのソングライティングが光るバンド"Truls and the Trees"は、これからのスカンジナビアンポップのシーンの代表的なバンドになっていくだろうと思います。実際Truls自身は"Lukestar"という別のバンドでも評価されているようです。僕はTruls and the Treesのアルバム"Ailanthusがとても好きです。ライブももちろん良いのですが、この全10曲入りのアルバムは一枚で一つの作品というような、最近あまりそんなアルバムに出会えていなかったので、とても新鮮で、芸術性、一貫性をすごく感じる傑作だと思います。
よくノルウェー人と話をしていると、『昨日、森に行ってた』とか『森に住んでいる』と言うので面白いなと思っていましたが、このアルバムではそんな愉快で、自然が豊富なノルウェーの風景、生活感、人柄というものを感じ取れるのではないかと思います。
欧米での北欧の地理的、文化的な位置づけは、北欧神話等からも連想ができますが、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランス等とは違う、何か神秘的で独特なものを音楽を通じても分かるような気がします。
世界を魅了してきた北欧のアーティストは沢山いますが、これからも、とても期待していますし、彼らと活動を共有していける事を光栄に思っています。今後も機会があれば北欧について色々紹介していきたいと思います。
さて、来週はそんな北欧と全く雰囲気の違う、スペイン、マドリッドとカナリア諸島に行ってきます。マドリッドでは本物のジプシーのミュージシャンに会えるというので楽しみにしています。

Truls and the Trees
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Now We've Got Members
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<関連リンク>

Now We've Got Members Myspace
http://www.myspace.com/nowwevegotmembers

Now We've Got Members ライブ映像
http://www.vimeo.com/1557260

Truls and the Trees Myspace
http://www.myspace.com/trulsandthetrees

Truls and the Trees ミュージックビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=JtQs2VDl3KQ

Metronomicon Audio
http://www.metronomiconaudio.net

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