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かくめい日和

詩:食虫植物 ウツボカズラ


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食虫植物 ウツボカズラ





ウツボカズラは家を確保した。


ホームセンターの片隅で
値下げされた
たったひと鉢の
ウツボカズラ。

何者かにかじられたような
弱々しい
葉をたくさんつけて
迫りくる、
慣れてないであろう、
冬に怯え
きらびやかに咲く
パンジーや
バラとは
一線を置き、

ぽつんといた。

ぽつんといた。


ウツボカズラの前を
いったり、きたり、
迷う、女、職業、唄うたい。


携帯で母にSOSを求める。

「お母さん、ウツボカズラ見つけたんだけど
葉が弱っていて、これから冬だし
育てられるか不安なんだけど」


すでに1m以上のウツボカズラを
育てているその母は

「そうね、でも強いから
室内に入れておけば大丈夫」

と。

彼女は決心をして、
ひん死状態のウツボカズラを手に取る。


屋外から屋内の
移動へ成功したウツボカズラ。


弱々しい葉を脱ぎ捨て
西日に向かって
精一杯背伸びを始めた。
まるで、冬眠からさめたように。

茎はみるみるうちに20cmは伸び
葉を伸ばし、
いつのまにか、
虫を捕る袋をつけ始めた。

とまる勢いはない。
周りの植物を巻き込みながら
夏と勘違いしたかのように
毎日成長していく。

彼女はたまに視線を感じる。
自分ひとりしか部屋にいないのに
まるで、誰かに見られている気がしていると。

光合成で補えない
栄養分を
虫でまかなうという
食虫植物。

彼女は虫を甘い蜜で
誘うウツボカズラの袋の中を覗き込む。
どこにでもいる
名前にも興味が持てない
ハエでもない、
ゴキブリでもない、
蚊でもない、
小さな虫が溶かされている。


身震いする。
いつか、いつか
わたしも餌に……



ウツボカズラは大きな食料も確保した。
今日も
遠慮せずにのびている。



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