ホームホームマガジン > めいりん/かくめい日和 > 詩:チューリップ

かくめい日和

詩:チューリップ


冬に植えたチューリップが顔をだす
昨日も今日も違う。
空へ向かってまっすぐとのびる。
私は昨日と何も変わらないのに。

あの人への思いは
音をたてて
崩れていった。

時は
人を変え
時は
人を食いつぶす。


久しぶりに火をつけた
タバコ。
まずい。
とてもまずい。

くわえ煙草をしながら、
時に瓶ビールを呑みながら、
泥だらけになって
ロクロを引いていた
あの頃の私は
もう遠い思い出。

時は流れ
人と人との間に流れる
細い川をせき止めたり、
埋め立て地にしたりし
境目は切れ、
もう君が見えない。

朝淹れた珈琲はぬるく
乾いた喉に染み渡る。

冬と春の間には
戦いがある。
冬と春の間には
捨てなければいけないものがある。
冬と春をつなぐ
チューリップ
今日ものびておくれ。
そして、
早く春を
咲かせておくれ。


さようなら、君。
さようなら、私。
さようなら、冬。

  • 前回の記事
  • この連載のトップ
  • 次回の記事

▲新着順▲著者順